合皮とは?
合成皮革(合皮)は、布地(基布)に合成樹脂を塗り、天然皮革のような質感に仕上げた人工素材のことを指します。
この「合皮」という言葉には、大きく分けて次の2種類が含まれます。
- PUレザー(ポリウレタン樹脂)
- PVCレザー(ポリ塩化ビニール樹脂)
どちらも「合皮」ではありますが、性質や加工のしやすさがまったく異なります。
そしてこの違いこそが、「レーザー刻印ができるかどうか」を左右するのです。
💡名入れができる素材:「PUレザー(ポリウレタン樹脂)」
PUレザーは、基布にポリウレタン樹脂を塗布して作られた合成皮革です。
本革に近い柔らかさと質感を持ち、レーザー刻印にも最も適した素材といえます。
PUレザーの特徴(名入れに適する理由)
- 質感・柔軟性:やわらかく、もちもちとした肌触り。伸縮性が高く「ウレタンゴム」とも呼ばれます。
- 加工性:ある程度の耐熱性があり、レーザー刻印を施すと表面がわずかに焦げて自然な濃淡(コントラスト)が生まれます。
- 仕上がりの美しさ:焦げ跡が上品な陰影となり、くっきりとした刻印が可能です。
- 耐久性:PVCよりも高価ですが、質感・耐久性ともに優れており、長期間きれいな状態を保ちます。
当店で扱うバインダーや証書カバーの多くはこの「PUレザー」を使用しております。
レーザーにて刻印するため、文字やロゴをさりげない印象です。
💡名入れができない素材:「PVCレザー(塩化ビニル樹脂)」
PVCレザーは、基布にポリ塩化ビニール樹脂を塗布して作られた合成皮革です。
硬くツルツルした質感が特徴で、日常使いには強い反面、レーザー刻印には不向きです。
PVCレザーの特徴(名入れができない理由)
- 質感・柔軟性:やや硬めで、通気性・弾力性・柔軟性はいずれもPUより劣ります。
- 熱への弱さ:高熱に弱く、レーザーをあてると溶けたり変色したり、表面が焦げてしまうことがあります。
- 安全性:素材が熱で変質するため、製品自体を損傷するリスクが高く、当店では安全上お断りしています。
PVCレザーは水や汚れに強く、お手入れしやすいというメリットがありますが、
このメンテナンス性と「刻印のしやすさ」は別の問題です。
見た目では区別がつきにくい理由
PUもPVCも、どちらも「合成皮革(合皮)」に分類されます。
見た目や手触りが似ており、型押しや加工によってさらに差がわかりにくくなっています。
近年は技術が進化しているため、見た目だけではPUかPVCかを判断するのは困難です。
ただし、現場で日々素材を扱っているかわうそ店長の実感としては、
PUレザーの方が高級感のある印象を受けることが多くあります。
PUは全体に上品な印象を与えます。一方でPVCはやや高級感が劣り、一般的に「いわゆる合皮」という印象を感じます。
当店では、見た目にも高級感があり、かつレーザー刻印が美しく仕上がる素材を選定しているため、
名入れ対応商品にはPUレザーを採用しております。
合皮レザー専門店かわうそではどうやって素材を見分けているのか?
当店では、素材確認のために専門の測定機器を用いて、
素材が「PU(ポリウレタン)」か「PVC(ポリ塩化ビニル)」かを慎重にチェックしています。
この確認により、レーザー刻印が可能な素材かどうか を事前に判断し、
刻印品質や安全性を確保しています。
また、当店の「持ち込み刻印サービス」をご利用の場合も、
お預かりした商品の素材をまずこの機器で確認いたします。
問題がなければテスト刻印を行い、刻印の仕上がりを確認したうえで
正式なご注文としてお受けしております。
このように、合皮素材の性質を正しく見極める工程を設けることで、
お客様の大切な製品を安全に、そして美しく仕上げることを心がけています。
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🪶補足
本動画・記事の内容は、合皮レザー専門店かわうそが使用しているレーザー刻印機を前提にした説明です。
使用する機材や条件によって結果が異なる場合があるため、
他店様での加工については当店では判断いたしかねます。
